1 自分のことが出来ない
3日前に湯切りの段階でこぼしたままのUFOの麺が
各種皿や、
各種コップの上に
散乱している洗い場を、
無視している
改行で迷う
ここ数日でゴキブリを見かけるようになって気分が悪い
その気分も、無視している
一人で使ったコンドームが灰皿に捨ててある
その気分を無視して
頭をかく
痒い
作品の体裁を成す、ということはどういうことか考えている
じゃあ日記の体裁はどうなんだ?人生は?
かたっぽしかない靴下があちこちに落ちてて
事実を書こうとして
想いを書かまいとして
どこから掃除をしていいのか見当がつかないでいる
これは変な文だ
自分のことが出来ない
だが、
人間が一人でいるということは不自然なことなのでこれは普通のことだろう。
俺はすごく普通だ
普通だのに詩みたいなものを書こうとしているというところがちょっと変だ。