映画の脚本 「アルハンブラの想い出」

  • 挿入歌-

アルハンブラの 想い出は
どんな想い出か 知らないけど
ぼくらは このメロディーを 口ずさむのさ 




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シーン1
夏、太陽、あぶら蝉、学校のプール
反射する光、子供たちの声、ホイッスル、飛び込みの音、水しぶき
クロールする少年
タッチ
プールサイドへあがる
顔の水を腕でふく
目つきの鋭い
ダウン症の少年



シーン2
特殊学級の子供たち
一人の女の子が少年に近づく
耳元で
何もいわない
少女の視線の先
フェンスのむこうの茂みから健常者が盗撮している
教師、
マンツーマンコーチと名ばかりに
別の少女の体をさわっている
教師の腕に大和魂という刺青が彫ってある
頭のよくない 肉体の冴えた子は 泣いてる
少年、最初の少女の腕をとり
はずかしいから放し
プールから外へ走る
警報とサーチライトが二人をてらす
太陽光線と
蝉の声
そらを飛ぶ 未来ののりもの
いつまでも 鳴らないチャイム



シーン3
障害者フェスタ2014
〜偏見をとりのぞこう!〜
〜健常者と障害者 みんな仲間〜
〜平等ある社会作りへ〜


司会者:さて次の演目は、丸山中学ゆめ学級の生徒たちのよるトランポリンです!


笑顔でトランポリンを飛ぶ少年少女
ワハハー
イヒヒヒー
ぼくたち明るく 元気デース アハ



健常者たちの拍手。
でも全員寝てる。





シーン4


神社
美男美女のカップルと主人公と発育のよい頭の悪い女の子
焚き火
火を囲んで
美男がギターを弾いている
禁じられた遊び
後方にアメリカンのバイク
美男美女はバイクで旅をしている様子
焚き火の火の粉があがる
照らされる神社
美男のギターにあわせ草笛を吹く主人公
草笛の天才
メロディーと
言葉のない空間
火をみつめる女の子たち
セッションが終わる
言葉はない
白いフォークギターをそのままかついでバイクにまたがる美男、美女
背もたれの裏に「人類が普通でありますように」と書いてある
手を振る障害者の女の子
炎をみつめる主人公






般若
おたふく

の仮面




境内でスマートにセックスする主人公と少女。
少女、セックス中ずっと両手で鐘を鳴らし続けながら雄たけびをあげる。





枝のうえ
つがいのキジバト
つつきあう
首をかじける
つつきあう





破壊された賽銭箱と それをみつめるパジャマ姿の坊主。







シーン5
音楽室
特殊学級の学園祭のだしもの 「アルハンブラの想い出」
ド下手
わいわい がやがや
一人の生徒:「先生、アルハンブラの思い出ってどんな想い出デスカ?」
先生、中指で眼鏡を上げる
沈黙
チャイムがなる
規律、礼、音楽の授業終わります。
轟音!
トレーラーが校門に突っ込んで煙をあげている
生徒、教師共 我関せず。




シーン6
鉄パイプを握り締め
上から跳んでくる
頭をかちわる
血飛沫
河川敷に面したスクラップ置き場-
数名頭が割られている
砂煙-
鉄パイプや棒をもった数名
煙草を吹かす主人公
「健常狩り」と称し
他校の武闘派障害者と組んでストレスを発散させる遊び




青空----





シーン7
草笛で吹くアルハンブラの想い出
夕陽
河川敷を歩き続ける主人公
手ぐしで髪をセットする
たまにちんこを触る
つばの匂いをかぐ
健常者とすれ違う時には害のない人のふりをする
アリンコを踏み潰す道のり
圧倒的な存在感を背後に見せる夕陽
草笛がちぎれてメロディーがとまる
一人笑う
太陽の幼馴染