Alice


クリニックの先生に
私はあなたより頭が良いです
私はあなとより頭が良いです
私はあなたより頭が良いです
と、早口で三回言う
誰でも早口で三回連続で言われるとイラッとくるものであり
それが言葉の情というものだ
じゃあ病院に来なくても帰ってもらっても結構です、私より頭がよいのだから自分で直しなさい
とくる
あの理性で
あの回転椅子をクルッとさせ
次の患者のカルテを眺める
いやらしいおまえたちの 社会的なめつきでだ


彼は、
わが国では人格障害の分野の権威でもある
権威とは立派なものだ
やっぱりその地位にまで昇りつめるには、総合的な人間力が必要であろう
確かに彼には多少の言語が通じた
人間らしい思いやりもある
俺は彼の前でリラックスするそぶりをみせるようなこともあった
昨日まではな。



俺は専門家というものが
全体性を見極める視野に
欠けがちであることを
朗読した
お前ら馬鹿が書けばぶあつい全11巻の書物になるだろう
なぜお前ら馬鹿が書くものは分厚くなるのだろうか
カンが鋭くないからだよ
あなたは通り魔については見抜けるだろう
だがそんなの俺でも見抜ける
ほかの奴らだって見抜ける
だけんどお前は連続殺人犯を見抜けない
クソだよ
屑め
先生はいつもより少し高い声でスタッフの名を呼んだ
実に社会的な様(さま)であると思った
あの静かな馬野さんが、という顔を受付の人がしていた
だけれどこんなことは誰にでも起こりえたし、今までだって何度かあっただろう
臆病のドミノみたいに様々な人間が効率的に動く
俺は治療に非協力で妄想的な危険人物だったかしら


さあ笑おう
クリアブレンドの小瓶を持って
ここはなあ
くだらない世界なんだよ
明日、何が起きたっておかしくはない
スキップしよう
想像を絶する地層の上にいくばくかのアスファルトが乗っかった世界で
カーステがうるさい
信号待ちのバイクに乗っている人間の
ヘルメットを脱がせて
警察です、と言って性別を問わず強姦してやるんだ





(すべてフィクション)

                                            • -

アンバサダー


バリカンで坊主にして
アロハシャツを着てサンダル