「朗読会のあとにセックスをする」

ゲストで
15分枠のところを
4分朗読をし
交渉したとおりの交通費を
トイレの脇で受け取り


詩は、
短ければ短いほどいいと思うのだ


それから
家族の待つ家に帰る気になれず
かといって笑笑で
あの何行目はどうだったと言い合ったり
自分たちがいかに大量の安定剤を処方されているかと言った話は
魂をすり減らすばかりだろう


今夜は
君と手をつないで
俺たちはセックスに出かける
昭和の匂いの残る汚い飲み屋の末席で
ビールと熱燗を
冷たいものと
熱いものを
交互に
繰返すように



煙草に火をつけて
互いの目を見
直感的に振れ続ける話題と
本当の核心には触れないテーマを交互に続け
俺たちはこれから
量産されたラブホテルでセックスするだろう
窓を開ければ
ファンが回っていて
手を伸ばせば隣の雑居ビルの壁に触れることが出来る


少しバージョンの古いカラオケと
400円の缶ビールを飲み
いままでこの部屋で
何千という男女がファックしては別れたという
伝説の
404号室で
俺たちはこれからセックスをする
人のいない砂漠で
たまたま出会ったというような理由で
水を得るように
あっけないのないをセックスを、行う


せめてその夜は幻の城の
王と王女でいる


俺たちが汚したシーツを
洗濯する人間がいることも忘れて