推敲1 リオデジャネイロ


南米朗読旅行最後の夜、
ブラジル西大学での朗読を終えた俺は
地元の学生詩人カルロスに案内されてリオのとあるセックスバーにいた
暗い店内にユーロビートのような音楽が大音量でかかっていた
ユーロビートは世界共通なのか。
裸の女たちやあるいは裸に近い女たちがステージや
あちこちに設けられた透明のプラスチックの巨大な筒のなかで
身体をくねらせたり尻を突き出したり、音楽にあわせて踊っていた
ミラーボールがあちこちでぐるぐる回転していた
それらは狂った惑星のようであった
俺は案内されたソファーに座った
そしてそのまま後に倒れた
俺はすでに酔い過ぎていた
カルロスは何か注文した酒を飲みながら、
透明なプラスチックの筒のなかで踊る女に言葉で何かを叫んでいた
いいぞー、とか、ヤらせろー、とかそんな感じなのかも知れない
まわりからも同じような言葉が聞こえたから。
女たちはほとんど男を無視するか相手するかしていた
どっちにせよどの女たちも笑みを浮かべていた
色とりどりのレーザー光線が飛び交っていた
あとは狂った惑星が幾つも回っていた
誰も俺を起こしにくる者はいない
つまりショウタイムはずっと昔にはじまっていたのだ。

ステージでは誰かと誰かが交尾をはじめていた
日本を出てから色々なことがあり、まるで色々なメにあった
それぞれの国の詩人たちはそれぞれの国についてよく理解していた
どこに行っても俺はたいてい歓迎された
それから俺は寝転びながら交尾をみていた
来世はブラジルに生まれてきてサッカーや交尾をやりまくりたいな、と俺は思った
色々な国の女を見てきたが、ブラジル人女性の尻はその中でもサイコーの部類に属するだろう
カルロスの尻を眺めながら、そのまま床で眠った。