推敲2 レース


俺は大外をまわっている
最大外だ
フェンスにぶつかりながら壊しながら走っている
というかコーナーを曲がりきれずに一旦競馬場の外に出ている
そっから戻ってきている
「あり得ないー!」と若い女の子が爆笑している
名うての予想屋たちは窓の内側で煙草を吸って
俺の事を若い、と言って安心している振りをしている
そうしてくだらない煙を吐いたりつまらない火をつけたりを繰り返している
奴等の予想が少しでも確かなものであれば奴等はもっといい別の稼ぎ口がある筈なのだが、
そう、何も分かっていやしない糞だ!
俺も分かっていやしないが
兎に角それ以上に何も分かっていやしないのだから。


直線だけで勝てる-
一頭、また一頭と外から抜き去る
俺は99%勝ち負けにこだわる男だ
勝ち負けにこだわらないと言っている奴に対しては100%の勝率をあげる男だ
友情を育む前にケリをつけなければならない問題が野生のなかにはある
歓声は勇気のある者の為にある
ゴールまで1ハロン
今まで先頭で余裕カマしているボケを抜き去る
彼は本命だった
天が二物を与えたような両刀使いだった
先頭にいながら愛を持っている奴はいないのか?
ゴール板が目の前に来る
日和見主義者たちの馬券はちりぢりに破られて空に舞う
若い女の子は彼氏とどこかにデートに出かけてしまった
二人はとてもよいカップルになるだろう。