「銀ちゃんと」


午後から診療も兼ねて行ったデイケア
若い女の子たちとダブルス混合で汗を流す
デイケアでは
俺はよだれをたらしていないタイプなので もてるのだ


それから銀ちゃんに会う
こっちに来てから何回か着信はあったが
基本的に俺は電話一発で出ない
電話は、概ね向う側の用事だからだ
いくつかのボタン操作で、俺とコントクトを取ろうとすることは不徳な作業ではないか?
そして俺は疲れていた
理想がですかぎたのだ
だが一度見てしまった世界
そのギャップのなかで身もだえをしていた
銀ちゃんに電話をかけ
クリニックの沿線沿いにいるということだったので
新宿で飲んだ
自分が今は仕事はしていない、ということを伝えると
銀ちゃんはいま統合失調症の治療を受けていると答えた
俺が弟が去年死んだことを伝えると
銀ちゃんは弟が殺されたことを俺に伝えた
深い意味や、涙はない
ただの事実だ
そうしてビールを飲んだ
銀ちゃんは太っていた
たぶん薬のせいだろう
もともと心臓が悪いし、五十肩にもなやっているらしい
五十肩とか
いやーおっさんの話だな





俺たちはまず悲惨な話をし
それから最終的には希望について話した
俺の昔の歌を幾つかカバーしているアルバムをもらった
銀ちゃんは医者に酒を止められているが
二人で瓶ビールを6本飲んだ
銀ちゃんは数人の女の子に電話をかけ
それから女の子が一人来て三人で飲んだ
彼女はこれからまだ校正の仕事があるので軽く一杯だけということだったが
弾むようないい胸をしていた