毎日

四歳の息子を自転車に乗せ
千川通りを練馬へ
往路平均26分14秒
ベストタイム21分58秒
車は真ん中の道
人はばらばらでてきとう
自転車はその間
人をよけるのは仕方ないとして
自動車までよけるのが面倒くさくなってくる
ターミナル駅などの雑踏を歩くときもそうだが俺ばかりが避けている気がして苛々してくるので
たまに車に突っ込むふりをする
だがばれているようだ
目でばれているのかも知れない
街でどんなに怒っていても望みを失っていても
よぼよぼのおばあさんや外国人観光客に道を聞かれてしまうのが謎だ
なぜ俺に聞くんだろう?


俺ならどういう人に道を尋ねるだろうか
ということを考えると、たぶん俺はばれているのだろう
俺はこの羊の顔をした頭のかわいい人達に見透かされている


保育園はオートロックでカードで施錠が行われる
俺もカードを持っている
保育園は管理されている



若い保母さんや新妻と挨拶を交わすのは楽しい
鍵を閉めたままもっと楽しいことをしたい空想が拡がる
俺は、
パパに成り切ったふりをしている
俺は良き父親を演じている。
だからサンダルを脱ぐとき隅に置いたりするが
たまに酒臭いので見透かされているのかも知れない。



丸は、いるか組の男の子たちに挨拶をされても無視しているが
女の子にはもてるようだ
1つ年上のクラスの女の子に抱き抱えられている
子どもたちが、りゅうしまる君のパパを見つめる
りゅうしまる君のパパはちょんまげ、子どもたちが言う
しごと何してるの?と聞かれる
小学校に上がるまでの子たちはまだ半分絵本の世界に住んでいてかわいいな
人は六歳ぐらいで死ぬのかも知れん
保母さんたちが俺に「いってらしゃい」と声をかける
俺はどこにも行かないが「いってきます」という。