かつての特区

すすで汚れたケットシーの毛先が
廃工場の百の信号機に照らされ
よし夫はすべての配線をつなぎ終え
コネクタのベッドの上でもう眠くて



いろいろな夢をその日も
アリクイを射るための蟻を仕掛け
つまりこのような
地球の夢をよくみる



一日中砂ぼこりが吹く
地上でたくさんのものが見えにくいのは
もっぱらこの風のせいだろう
時計は砂ですぐ壊れるので
色々な決め事が曖昧になり
精密なものは
より繊細な破壊者に侵攻された