こころはパステル

通っている病院のデイケアでカラオケの時間に俺はぬりえをしていた
カラオケはまえに一度歌ったことがあるが、賞賛と或いは誰かが自信をなくしたりする時間は苦手だ
書きたい絵を選んでスタッフにコピーしてもらう
24色の色鉛筆を鉛筆削りで塗る
学校に通っていた頃は、色塗りが苦手だったが
いや、水彩が性に合わなかったから色塗りが苦手だと思っていたのかも。
色鉛筆で空や壁を塗るのは難しい
収拾がつかなくなるので放置しようとしたらスタッフにパステルを勧められた
カッターナイフでパステルを削る
人差し指でパステルの粉を紙になじませる
おお、これは結構思った色に仕上がるな
パステルというと、心が危うい女性のささやかな自己満足っていうイメージがあったが意外に俺にあうな
一般的に?粗い目の紙に使ったりするらしいが、俺は普通のコピー用紙のほうがいいと思った
人差し指は融通が効くし
刃物を持つのも楽しい。


帰りに新宿に寄り、そういえばあそこに大きな文房具屋があったなと思い世界堂に向かった
このあたりは新宿でもあまり詳しくない地域だ
昔、AVの面接に来たことがある
道に迷ったのでおまわりさんに聞いた
非合法な薬をやっている奴にのぼりで追い回されたことがある雑居ビルを見上げる
世界堂は美しかった
何もかもが店内表示より20%引きだし、
ここにいるすべてのお客さんがこれから絵を描こうとしているのかもと思うと楽園のように思えた。