今日の芸術/岡本太郎を読んだ


だが子供のころにみたピカソ岡本太郎の絵というのは
自由な芸術だというよりもむしろ反動的な感じさえした。
自由な精神とはもっとテキトーなものではないか?
それは無意識に身を任せて生きるということではない。
真に、何者にも囚われずに生きるということだ
観念、常識や権力、時代のなかで生きながらもなお
既成の選択肢以外の選択を精神のなかに宿しているということではないか
そうして圧倒的な比喩によりそれを社会に伝えることこそがつまり芸術の仕事なのだ。
既成の選択肢以外の選択をさし示すとはどういうことか?
つまり、人類全体で今よりもう少しだけ幸福になろうという呼びかけだ
今日行われた殺人を140から114に減らそうということだ
今日自殺した人を251から160に減らそうということだ
そういう意味で芸術は生活に直結せざるを得ない
芸術の仕事とはこういうことなのだ。


であるから、芸術家を志す場合
美術館に通ったり文献を読み漁ったりフランスに行ったりする必要はない
一体美術館の内側と外側にどんな違いがあるというのか?
高価な額縁の外と内に何がある?
では新しい芸術とはどこにあるのか
それは新しい人間のなかにある
つまり、新しいぼくや新しい君のなかにだ
もし時代を変えたいという場合には、
おのおのがおのおのの自己への執着を捨て脱皮しなくちゃあならない
そしてそれは強制されちゃいけない
おのおのがおのおのの意思によって楽しく希望を持って迎えられるべきだ
なぜなら痛みは、大抵の場合さらなる痛みの波紋を生みだすからだ
そういう意味で次の革命は、うんとやさしいものになると思います。